はじめに
マンション売却は「やることリスト」が膨大で、ただでさえ心身ともに疲弊します。それに加えて、「本当に希望金額で売れるのか」という不安と、「2歳双子幼児の育児」が同時にのしかかる日々。
結論から言います。2歳双子幼児がいる状態でのマンション売却活動は、ぶっちゃけ想像を絶する「地獄」でした。※我が家の場合は犬もいたのでとにかく吠えて吠えてなお大変でした。
この記事では、そんな地獄を見積もり、仲介契約、内覧、価格交渉、売却、引っ越しという実際のフローに沿って、具体的にどう乗り切ったか、双子育児との両立で何がきつかったかも含めて全記録としてお伝えします。
想像を絶する大変さ:双子育児と売却活動の「理想と現実のギャップ」
なぜ2歳双子を育てながらのマンション売却活動が「地獄」になってしまうのか?
それは、売却活動が求める**「理想的な状態」と、双子育児の「現実」が、根本的に相容れない要求を持っているからです。この致命的なギャップ**が、親の心身を削り取っていきました。
| 売却活動に理想的な状態 | 双子育児ゆえの厳しい現実 | |
| 準備と維持 | いつでも内覧可能な、生活感ゼロのきれいなお部屋を即座に演出できる | すぐに物を散らかすため、完ぺきな状態は保てない |
| スケジュール | 買主の希望を最優先し、急な内覧でもフレキシブルに対応できる買主のスケジュールを最優先できる | お昼寝や食事など死守すべき生活リズムがあるが、買主優先でリズムが崩壊する |
| 打ち合わせ | アピールポイント、販売計画を夫婦そろって落ち着いて念入りに詰められる | 営業担当との話は「子どもの遊び相手をしながらのながら作業」になり、集中できない。そして長くなると子供がどんどん不機嫌になる。そして犬が次々に来る来客に警戒してうるさい |
【地獄のスタート】見積もり・仲介契約フェーズの苦難
不動産仲介会社との相見積もり
物件査定、不動産会社のセールスポイントを確認し、契約形態を含めてどのような販売戦略を取るかを決める重要なフェーズです。私の感想ですが、お願いする会社(担当者)の技量で短期決戦に結び付くか否か決まるといっても過言ではありません。
我が家は専任媒介契約で進めることにしましたので、相見積もりは3社に依頼し、その中から早く高く売ってくれそうな1社にお任せすることに決定しました。各社とも物件査定、売買までの一連の流れ、セールスポイント、質疑応答という流れです。
地獄ポイント:3時間集中戦で子どもの生活リズムが狂う
査定にかかる時間は1社あたり最低1時間はかかります。我が家の場合は3社まとめて行ったので、1日で合計3時間を相見積もりに費やしました。
【工夫と誤算】 見積もり段階では依頼主の都合で時間を調整できるため、我が家はお昼寝時間を狙って各社を調整しました。しかし、こういう日に限ってなかなか寝てくれないのが2歳児の恐ろしいところです。
- 忍耐の3時間:親一人は双子の相手をしながら、もう一人が説明を聞くという**「ながら作業」**を強いられました。2社目までなんとか遊び相手をして耐え凌ぎましたが、重要なセールスポイントもながら聞きになり、集中できません。そして犬が警戒してうるさいです。
- 生活リズムの崩壊:3社目にしてやっと力尽きて双子とも勝手に寝てくれましたが、いつものお昼寝時間から2時間以上ずれ込む結果に。その代償は大きく、夜の寝かしつけは想像通りの寝ない地獄となりました。
- 【現実】:このフェーズにおける売却活動の負担は、長時間耐え忍べるかどうか、そして相見積もりの数を広げすぎないことくらいしか対策がありませんでした。希望価格で早く売ってくれそうな不動産を見つけることが大前提ですが、少しでも早くこのフェーズを終わらせることが、精神衛生上重要だと痛感しました。
地獄ポイント:深夜の資料捜索と直前お片付け
【工夫と誤算】 少しでも当日の負担を減らすため、室内撮影は自分たちでできる箇所を事前に済ませておくことにしました。しかし、ここでも「2歳双子」という壁が立ちはだかります。
- 収納の存在を悟られてはいけない: 「2度と見返すことはない」と思っていた修繕積立計画や管理費、駐輪場などの施設利用資料。これらを保管ボックスの奥から引っ張り出す作業は、**必ず「子供が寝ている深夜」**に行わなければなりませんでした。なぜなら、2歳児に収納の奥を見せる=新しい遊び場の提供になってしまうから。確実に子供に見つからないようにするには、寝かしつけた後の深夜作業一択でした。
- 「撮影直前」にしかできない片付け: 綺麗な室内を演出するため、事前に片付けられるものは子供が寝た後に全て済ませました。しかし、どうしても直前まで使うおもちゃや生活必需品は、撮影のまさに「直前」に片付けるしかありません。
【本番】内覧対応フェーズの苦難
突然決まる買主の内覧日
すでにへとへとでしたが、専任媒介契約を締結し、SUUMOに掲載されてからが本当の本番です。 ターゲット層となる一般ファミリーは、基本的に土日の休日に内覧を希望されます。リアルな話、前日に「明日見たい」と連絡が本当に来ました。
**「早く、高く売りたい」**という一心で活動しているため、売り出し期間中は、時間指定の予約が必要なお出かけは一切入れられませんでした。いつ来るかわからないチャンスを待つ、落ち着かない日々が始まりました。
地獄ポイント:エンドレスに続かもしれない「内覧前のお片付け」
片付けは、内覧のたびに発生します。我が家は幸いにも最初の一組目で成約したため、何度も繰り返す必要はありませんでしたが、もしこれが数ヶ月続いていたら……と思うとゾッとします。
せっかく撮影のために片付けても、2歳児がいればものの数分で部屋はびっくりするくらい物で溢れかえります。そして内覧の度に「綺麗な状態」を演出しなければいけない売るための努力は、双子育児中には正直しんどい状況でした。
地獄ポイント:子どもの生活習慣より「買主の都合」を優先
「とにかく早く売りたい」という思いから、子どもの生活リズムに合わせる余裕はなく、買主側のスケジュールに合わせました。
これまた運が良かったのですが、たまたま内覧時間に双子が爆睡してくれていたため、事なきを得ました。しかし、もしあの本能だけで動き回る二人が元気に暴れ回っていたら……と想像すると好印象な内覧対応できたのかぞっとします。 内覧中は買主さんから予想していなかった斜め上の質疑もあり、一瞬も気が抜けません。子どもが騒いでいたら、とても丁寧な対応はできなかったはずです。
正直かなりめんどくさかった「内覧後のマニアックで細かい質疑対応」
これは子どもがいてもいなくても大変な作業ですが、活動中、地味に精神を削られたポイントです。 不動産会社の対応マニュアルにはないような、非常にマニアックで細かい質問を投げかけてくる買主さんだったため、回答の作成にはかなりの労力を使いました。
「確度の高そうな買主さんだしここで雑に対応して成約が逃げたら、またあの内覧準備(お片付け)に逆戻りだ……」 「もし目標金額で売れず、残債が足りなかったらどうしよう……」
そんな恐怖・めんどくささが常に頭の片隅にありました。育児の合間を縫って、なんとか迅速かつ慎重にレスポンスを返さざるを得ない日々。今でも覚えていますが、車の運転中も連絡が来て、頭をフル回転させて、回答を考えるような日々でした。
【突如と訪れた開放感】契約フェーズ:手付金受領、売却確定、繰り上げローン完済!
マニアックな質疑応答や、いつ来るかわからない内見のプレッシャー……。そんな日々を乗り越え、ついに買主様に「買う」と決めていただき、手付金の受領までたどり着きました。
率直な感想は、「売れた!解放された!自由だ!!!」。 この一言に尽きます。もちろん、まだ手付解約ができる段階なので100%の安心ではありませんでしたが、それでも「暗いトンネルの出口が見えた」という安堵感は、何物にも代えがたいものでした。
解放感の裏にあった「夜な夜な掃除」の真実:実は解放感に浸る一方で、物件引き渡しまでの期間は別の戦いがありました。子どもが寝た後、仕事がある平日も関係なく、夜な夜な必死に部屋を片付け、荷造りをする日々。正直、これが精神的にも肉体的にも一番「じわじわ」とくる辛さでした。
手付金受領後からのタスク一覧
ここからは「家を売る側」としての事務的な重要タスクがメインになります。
- 支払金約定契約:手付金受領後、売却額から仲介手数料の支払い金額を合意します。30分程度の面談・手続きで完了しました。
- 抵当権抹消手続き:ローンを契約している銀行へ行き、決済日(引き渡し日)を確定させ、抵当権を外す準備をします。
- 必要書類の取得:印鑑証明、住民票など、売買契約および抵当権抹消に必要な書類を揃えます。マイナンバーカードを利用したので、コンビニで楽々取得できました。
- 売買契約締結・抵当権抹消:店舗にて最終的な契約を行います。買主様とは内見以来の顔合わせ。マンションの各種資料をお渡しし、司法書士への委任手続き、残代金の受領、仲介手数料の支払いなどを行います。待ち時間を含め1〜2時間程度かかりました。
契約フェーズの最後の戦略:手続きはすべて「平日」に全振り
ここから先の契約・決済は、絶対にミス・漏れてはいけない時間がかかる手続きばかり。自宅外での作業も多く、**「2歳双子を連れて行ったら、この場が地獄と化す」**のは目に見えていました。
そこで我が家が取った選択は、**「すべての契約手続きを平日の保育園時間内に完結させる」**ことでした。
- 最大のメリット:子どもが保育園に行っている間は、完全に親の手が離れます。
- 必要な準備:有給休暇の取得は必須となりますが、その価値は十二分にありました。
おかげで、この最終ステップに関しては、これまでの苦労が嘘のようにスムーズに進めることができました。
まとめ:結論、二度とやりたくない。
以上で、『【地獄】2歳双子幼児+犬ありでマンション売却を乗り切った全記録!見積・媒介契約・価格交渉・売却の苦難』をお届けしました。
人生で何度もない不動産売却。しかも、我が家は**「2歳双子」+「犬」**という、今振り返ってもかなりハードな環境下での挑戦でした。幸いにも早期売却できたので地獄期間は短かったですが、この約2か月に及ぶ地獄の期間を乗り越えて痛感したのは、以下の2点です。
- 「相当な理由」がない限り、幼児期の売却はおすすめしない:とにかく親の心身が削られます。子どもの生活リズムを崩し、犬のケアをしながら、生活感ゼロの空間を演出するのは並大抵のことではありません。「なんとなく」で始めるには、あまりにしんどい活動です。
- 「マンション高騰」と「自分の家が売れるか」は別物:インフレや周辺相場がどうあれ、自分の所有物件を「その価格」で買ってくれる人が現れるかは全く別の話。相場に踊らされず、常に「売れない恐怖」と隣り合わせで戦略を練る厳しさを知りました。
もし、今まさに同じような状況で売却を迷っている方がいたら、「夫婦で協力し合えるか」そして何より**「間違いなく地獄を見る」**という覚悟を持って臨んでください。


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